(2020.4.30掲載)
不覚だった。
事故みたいなもの。
ほんの気の迷い。
言い訳を並べれば並べるほど、どんどん後ろめたさが勝ってしまうから、もうストレートに言ってしまおうと思う。
私は、浮気をしました。
掛け持ちという言葉も概念も私の中にはないから、私の好きなアイドルはNEWSだけだから、浮気、という言葉が一番しっくりくる。
申し訳ないけど、これは世界一平和で幸せな浮気だから。許してほしい。
いや、許されなくたってする。だって好きだから。
ステップ1:私はギャップに弱い
始まりは3/29。そう、新型コロナウイルスの影響で開催できなかったライブの会場を使って行われた「Johnny's Happy Live with you」の1日目、2公演目。「#おうち時間」の一環としてジャニーズ事務所が総出で急遽用意してくれたスペシャルステージだった。
NEWSはいつ出るのかと待ちわびながら、彼ら以外のライブを全く見たことがない私は貴重な機会に胸を躍らせていた。
カウコンすら、NEWSが画面に映っていないと分かればよそ見をしてしまうような、「ジャニオタ」というにはあまりにも意識が低すぎる人種だったので、各グループがオリジナリティーを出してパフォーマンスをするところを見られるのはシンプルにラッキーだと思った。
彼らの歌唱は2組目。何の気なしに見ていたスマホの画面から目が離せなくなったのは始まってすぐだった。
「ひとつひとまず手を洗おう」
「ふたつこまめにうがいしよう」
「みっつみんなでマスクしよう」
替え歌だった。この曲くらいは私も知っている。
そろそろカミングアウトしておこう。私が好きになったのはジャニーズWESTというグループです。
この曲は「ええじゃないか」だ。NEWSが2年前のカウコンで特別にカバーしてくれた、少しだけ思い出のある曲だ。あまりにも楽しそうに替え歌をしている彼らがなんとなく気になってしまった。
「自分たちが元気にパフォーマンスすることでファンの人を安心させられるし元気付けることが出来る」
それを自覚しているとしか思えない明るさだった。空元気とかそういう話ではなく、そういう信念が、単純にアイドルとして信頼出来ると思った。
2曲目のBigShot!!は年末の歌番組で何度か聞いていたけど、Aメロがこんなにイケイケの英語交じりのラップだなんて聞いてない。
なんなんだこの発音の良さは…。
びっくりした。「ええじゃないか兄さん」はどこに行ったのか…。
そのショックは3曲目でさらに悪化する。
YSSB
その日のTwitterトレンドを一晩中支配するワードだった。
NEWSでいうところの「夜よ踊れ」の衝撃なんだろうな、と思った。
その2週間ほど前、「夜よ踊れ」と同じ立ち位置にいる最新曲「エス」が突然CDTVで披露された。ファンはもちろん阿鼻叫喚だったわけだけど、正直ファン以外の、それこそ彼らを「チャンカパーナ兄さん」だと思っている人たちにこの衝撃は伝わるんだろうか?と思ったりもした。
YSSBを聞いたことで分かってしまった。それはまさに「雷に打たれたような感覚」。
キャー!とも、うわー!とも言えなくなる。ただひたすら、iPhoneの小さい画面から動けなくなっていた。
その後のMCも4曲目も正直あんまり記憶にない*1。
ただ、自覚していることとして、私はギャップに弱い。
私が沼に堕ちるにはあまりにも十分すぎる振り幅があの15分に詰まっていた。
これは気を付けないと好きになってしまう。
そう警鐘を自分にならしながらも少しだけワクワクしている自分もいた。
ただ、最終日が終わっても、そのライブにNEWSは出なかった。
単純にスケジュールの都合ではあったそうだけど、そのショックから立ち直るのにしばらく時間がかかった。
ジャニーズWESTのことは、一度考えるのを辞めた。
ステップ2:私は音楽に弱い
私がNEWSを好きになったきっかけはラジオだった。
正確に言えば「ラジオから流れるアルバム曲」だった。
中学生のジャニオタにしては珍しく、「誰々がかっこよかったから」とか「ドラマで好きになって」というきっかけではなかった。
もちろんファンになってから散々騒ぐのだけど。
音楽性が備わっていないと意味がない。
応援ソングや王道アイドルソングもいいけど、音楽としての振り幅がないと意味がない。
専門知識もないくせにそんなところでシビアな子供だった私は音楽性に関してはアンチジャニーズより厳しかったと思う。
ええじゃないか兄さんはそんなわけで私の管轄外だった。
でも、あの日のBigShot!!、YSSBの衝撃が忘れられなかった。英語の綺麗な発音、ハイレベルなハモライン、只者じゃない。
いや、そもそも只者だったらジャニーズ事務所からデビューなんて出来ないんだけど、あまりにもギャップがありすぎてくらくらしてしまった。
そんな中、私はYouTubeで「ジャニーズWESTの世界昔話」というコーナーの動画を見つける。*2
基本的にハイレベルなコントが繰り広げられる空間で、それこそ私の本来の「ジャニーズWEST」のイメージそのものだった。
でも、ある1本の動画でまた私は沼に落ちてしまう。
タイトルは「美女と野獣」。私がディズニーで最も好きな話で、1番尊敬して止まないプリンセスは他でもないベルさんなのだ。
完全即興のコントの中で誰がベル役をやるのか、私の興味はその一点だった。(もちろん他のキャスト配置も天才的で適役しかいないな?どうなってるんだ??って混乱したけど。)
ベル役は、神山さんが演じた。
HappyLiveで流暢な英語の発音を見せた、ハイトーンとフェイクが綺麗なあの人だった。
なんだか嬉しかった。
嬉しいと思った瞬間に予感した。私はこの人のファンになるのかもしれない、と。
その後私を待ち受けていたのは即興のアカペラ歌唱。濱田さんとのハーモニーがあまりにも美しくて「もうダメだな」と思った。
もうきっと、私がどんなに意地を張っても無駄だ…それどころか頑なに意地を張れば張るほど、この気持ちは抑えきれなくなるんだろうな、と予感した。
歌が上手い人が好き。音楽センスのある人が好き。
だから、歌が上手いジャニーズWESTさんに魅力を感じないわけがない。
ステップ3:私は情熱に弱い
神山さんのことを好きになった私は、やっぱりそれでも意地を張っていて、「まだジャニーズWESTが好きとは言ってない」なんて言い訳を自分自身にしていた。
そんな言い訳が続く訳がない。美女と野獣の余韻が冷めない数日後の深夜にその瞬間は来た。
WESTさんがbayfmで持っているラジオ番組「bayじゃないか」。
私がNEWSを好きになったきっかけもbayfmの番組なのでそれなりに覚悟はしていた。私にとってbayfmは「好きを運んでくれるラジオ局」なのだ。
この日のパーソナリティは藤井さんと中間さん。
トークテーマとして「絆」を振られた瞬間、二人からすらすらと言葉が流れてきた。
「仲いいと思うことは多い」「いい奴ばっかり」「嫌いになる自信がない」
次々と紡がれるメンバー愛に私は圧倒されるしかなかった。
全員で作った曲に対して「みんなの声で聴いて泣きそうになりました。マジでありがとう」とメールした神山さんのエピソード。
もう答えは出ていた。
私が好きになった神山さんがこんな熱量で愛せるメンバーを、私が好きになれないはずがない。
私はこういう、熱い人にめっぽう弱い。世間からジャニーズはそういう熱さみたいなもの隠して、スカしてカッコつけていればいいと考えている人の集団だと思われていて、それが悔しかったりするのだけれど、彼らの言葉を聞いたら少しは誤解が解けるんじゃないかと思う。(もちろんNEWSもそういう人たちの集まりで、私はそういうところも大好きだったりする。)
本当に羨ましいと思った。私の好きな人たちは、スタートが「バレーボールのための寄せ集め」で、そこで絆を深められなかったことを今でも心底後悔しているメンバーがいる。
スタートメンバーは半分以上いなくなってしまった。それが今の彼らの結束を強めて、彼らのドラマを彩っていたりもするけど。「メンバー全員が大好きで、どんなことがあっても嫌いにならない」なんて、当初のメンバーは言えたんだろうか。
分からない。その声を聴けないうちに、メンバーカラーの赤も青も消えてしまった。
今の4人が大好きだけど、その過去を思うと今でも少しだけ胸が痛むことも否めない。
だから、ド直球で、誰も偽ることなく、全員が全員を好きだと言えるWESTさんが羨ましかった。もっと、しっかり見ていたいと思ってしまった。
完全に私がファンになると決意できたのはこの瞬間だったと思う。
結論:私は友達に弱い
つらつらと、落ちた経緯について並べてきたけど、こうして「沼落ちブログ」と言えるものを書いているのは、これからもファンであり続けるような気がしたからだ。
お茶の間ファンじゃなくて現場に行こうとしているからだ。
それは多分、私ひとりでは出来ない決断だったんじゃないかとぼんやり思う。
私の大好きな友達に重岡さんのオタクがいる。
案の定、「気になっている」としか言っていない段階でものすごい勢いで布教してきた。こういう時のオタクのエネルギーはすごい。多分そのうち発電に使われる。
HappyLiveが終わった時点で、重岡さんと神山さんが気になっていると伝えると、その二人はシンメだと告げられた。
勘弁してくれよ。と思った。
私に限らず、オタクはシンメに弱い。
ジャニーズに限らず、世界中にシンメはあふれている。ワンピースのサンジとゾロ、ルパン三世の次元と五右衛門、ふたりはプリキュアのなぎさとほのか…(ちょっと今これ以上思い出せないけど)
2人は正反対で、でも似たもの同士よりも確実に心の奥底で通じ合っていて、自分にはない部分を尊敬しあっていて…そんな姿に惹かれてしまうから世界はシンメで溢れかえっている。
神山さんに惹かれていると気づいた時、ふと友達のことが頭をよぎった。
このまま私が神山さんのファンになったら、ファンである私たちもシンメ、ということに、なるんだろうか…。
そうなれなくても、私がワクワクしたり、感動したり、好きすぎてどうしようもなくなった時、その友達が隣にいてくれるのだ。
なんだかそれは、すごく安心できる。そう思った。
私はきっと一人では現場に行くほどのファンにはなれなかったと思う。大好きな友達がいたから、その友達の隣で、彼らの姿を見届けたいと思ってしまった。
まだ実際に足を運んだわけではないけれど、きっとこれからどんどん私の「好き」は深くなっていく。
20年以上付き合っているから、私の私に対する勘はほとんど100%当たる。
ずっとNEWS一筋で生きてきた私にとって、この決断は人生の決断の一つと言っても過言ではない。
本当に悩んだ。これは立派な「浮気」になる。しかも恋に落ちたきっかけはNEWSのいるはずだった横浜アリーナでNEWSのいないライブだった。全然フェアじゃない。
この気持ちの言い訳を考えるたびに、恋人がいるのに浮気をしてしまう人の気持ちが手に取るように分かってしまった。もちろん正当化する気も味方する気もないけど。
ここで本命と別れなくていいから本当にアイドルとオタクの関係は助かる。「どっちも好き」でいいんだもん。ありがたい。だってどっちも好きだから。
そんなわけで私は久々に恋をした。
コロナがなかったら今頃NEWSのツアー三昧で、実はこんなにかっこいい「ええじゃないか兄さん」に気付くことすらしなかっただろう。それはそれでよかったかと言えば、そうじゃない、と思う。
今、このタイミングで好きになれてよかった。「あの時好きになっていたら」を未来の私が感じずに済むのだから、そこだけはコロナに少しだけ感謝したい*3。
2020年4月、ワンルームの中で、私は恋に落ちました。