ちゃんと、フェスのアーティストだった。
私が学生の頃から愛してやまない、人生で初めての「推し」は初めてのはずの野外フェスで、“ちゃんと”アーティストだった。
自担の加藤さんに負けず劣らず、東西南北のフェスに参加し、時に最前列でぎゅうぎゅうに、時にダイブモッシュで日頃の鬱憤を晴らして生きてきた私にとって今回のMETROCKはなんだかとても特別で、「生きてたらこんな世界があるんだな」としみじみ実感した瞬間でもあった。
わ〜!!なんかいきなりしっとりしすぎじゃない!?!?
ということで、METROCK2023に行ってきました〜!!!
METROCK東京公演は初めて行った2015振りなので8年振りの若洲公園。
あの頃はダイブモッシュも出来たしAbema配信も(確か)なかったのでなんだか全然別のフェスに来た気持ち…
学生時代の私はとにかく「同じチケット代でどれほど沢山のアーティストが見られるか」をフェスの醍醐味にしていたので、とにかくステージ間を飛び回り、最盛期は「フェス飯は混むからパス!ダイブした時気持ち悪くなるから水以外飲まない!」という修行僧状態だった。(良い子は真似しないでね!)
今回は最大のお目当てであるNEWSに全照準を合わせ、1番大きなステージで待機。
Creepy Nuts、打首獄門同好会、SHISHAMO、サンボマスター、そしてNEWSを余すことなく楽しんできました。
(熱入りすぎてNEWSまでのアーティストの感想沢山書いてしまったのでNEWSだけ見たい人は下のリンクからどうぞ!笑)
Creepy Nuts。久々の再会だった…多分最後に見たのはコロナ前……あの頃はまだMETROCKに出たとしたら1番小さなNEW BEAT SQUAREで、お客さんから一語ずつ拾ったワードを全て入れてフリースタイルのラップをする「聖徳太子ラップ」をやっていて。どんなに小さなステージでもメインステージのごとく、その場にいるお客さんを余すことなく湧かせていて、なんてフェス映えするんだ…と見る度に感動したことを今でも覚えている。
あれからどんどん大きくなっていって、R指定もブクブ…とてもよい体格になられて……
1番大きなステージで何万人というお客さんを変わらず湧かせている2人にあの頃と変わらず感動した。
これは裏話だけど一緒に行った生粋のジャニオタがリハの時からDJ松永にときめいていてめちゃくちゃ面白かった…
私の中ではイキり倒してる中坊という印象なので、彼を「推し」として見ている人を目の当たりにして軽くカルチャーショックだった…
最終的に「水飲んでて可愛い」って言い出して流石にそれは自担過ぎるなと思いましたが……
松永さん、その節はNEWSとコラボありがとうございました…私の友達に「松永担」が爆誕致しましたおめでとうございます。
打首獄門同好会は相変わらず外野を巻き込むのが上手いな〜と思う。
初めてのフェスでどう立ち回っていいか分からないNEWS担も多いであろう中、無理に乗らなくても怒らないからね〜と一言。きっと安心して臨めた人も多いんじゃないかと思う。
去年のジャニーズWESTしかり今年のNEWSしかり、打首がジャニーズと同日に組まれている理由がわかった。
ジャニオタ大好物の「テーマがトンチキな持ち曲」に、会長(ギターの人)の手作り歌詞モニター、ステージ上ではしゃぎ倒すベースのお姉さん…。
打首は語るところが多すぎて、NEWS担との邂逅がとても楽しみだった。
歌詞の載ってる映像が会長の手作りであること、
モニターのないステージに出た時は自前のモニターを接続してカラオケ状態で歌詞を見せてくれること、
100曲以上ある持ち曲でラブソングが一曲もないこと、
ベースのJunkoさんは今年65歳になるスーパーギャルであること…
知れば知るほど面白いバンドなのでこれを機に彼らのライブに足を運んでくれる人がいるといいなと思う。まあ私もワンマンは行ったことないですけど。
SHISHAMOはずっと変わらず爽やかで、変にスレた曲出さないのが好き。
爽やかで居続けることの難しさというか、年齢を重ねる毎に濁った見方になっていくのが普通なのに、朝子ちゃんの声はずっと爽やかだ。
付き合って3日目、彼のことが大好き!!!みたいな曲をずっと書き続けられる、いい意味で、結成1年目の初々しさを孕みながら、フェスでもそのテンションをずっと続けていられる。これって十分立派な才能だと思う。
自分から出た言葉しか作品に出来ない世界で、その世界がずっと濁らないでいられるのは、その世界でずっと無理せず生きていられるのは、努力と、才能と、1種の可愛げだ。私はこんなふうに生きられない。だからこそ、彼女たちがずっと眩しい。自分と同世代のリアルタイムで生きている女の子なのに、彼女たちのステージはずっと高校時代の文化祭の中にある。いつ見ても、あの1番綺麗でキラキラした空間の中にある。
サンボマスター…NEWS担に見て欲しかったバンドの1つ。とにかく彼らはいつ見てもどんな時に見ても熱い。タダでさえ暑いのに、その熱気が一層上がるようなことを平気で言う。
「魂を削って歌った歌に心を突き動かされた事のある人間」に彼らの歌が刺さらないわけがない。
私の大好きなバンドもフロントマンがとても熱い人で、でもそんな人のMCには大抵世の中で起きている悲しいことが織り交ぜられている。
きっと、純粋で繊細で、人の心の脆さをよく知ってる人だからこそ紡げる言葉なんだと思う。そういう感度の高さが人の心を揺さぶる言葉を作っていくのだと、見る度に思う。
「お前がクズだったことなんて1度もねぇ!お前が腐ってたことなんて1度もねぇんだよ!生まれてきてくれてありがとう。次会う時まで勝手に死ぬんじゃねぇぞ!!」
こんな単純で捻りのないストレートな物言いに、少なくとも私は動揺した。コロナでライブが潰れた時、楽しみにしていた予定が台無しになった時、そして、元担が消えてしまったとき…
“腐っていた”と自覚する瞬間をこの3年で沢山経験していた。そして今も、小さく腐っている自覚がある。だからこそ、こんな大きなステージのあんなに大勢の前で「腐ってない」と迷いなく断言してくれたことが嬉しくて、ついうっかり涙を流してしまった。
あんなに沢山人がいたのに、山口さんは「私に」言ってくれていた。そう感じたから泣いてしまった。
NEWSのライブでも感じることがある。「1万人に、ではなく1人×1万に歌ってくれている」と思う瞬間が。
NEWSとサンボマスター初め“熱い”バンドはこういうところが似ている。
だから好きなのだ、私は、彼らのことが。
そしてお待ちかねのNEWS。
サンボが終わった瞬間、来るだろうと思っていた人の波は思った以上に弱くてなんだか拍子抜けした。
最前付近にいたので正直手を挙げることすら難しくなると覚悟していたのに、しようと思えばジャンプもできそうなほど余裕があって、過去最大級に押しつぶされることを覚悟して行ったのに、今までで1番快適な最前エリアだったように思う。
NEWS担のお行儀の良さは普段から感じていたし、他担に誇れると思っていたけれど、あくまで全席指定の単独公演。私たちだって腐ってもオタクだ。初めてのオールスタンディングで自由に前に行けると思ったら欲が出てしまうのは仕方がない…前日の荒れた会場レポを読んでいたのもあって、あまり期待していなかった。
100%全員が聖人君子というわけではもちろんないけれど、あまりにもお行儀の良すぎるファン達に(まぁ私も例に漏れずファンなんだけど)それでいいの……!?と困惑してしまうほど。
初めての人も、常連たちも、「周りのロックファンを不快にさせないように」徹していて、それが自然に出来てしまっていて、NEWSが20年かけて作ってきたファンダムの居心地のよさにまたうっかり泣きそうになってしまった。
そして登場したNEWS。
今までは、というか通常はフェスのロゴが流れてアーティストロゴが表示されて、本人登場、という流れだけど、
フェスのロゴ→本人登場→ハミングから始まりいざ1曲目、の直前に「NEWS」のロゴ。
長年色んなフェスに参加しているけれど、こんなアーティスト紹介は初めてだった。
無音でどデカくメインモニターに表示されたアーティスト写真で会場の温度がブワッと上がるのを感じる。こんなアニメの最終回みたいな演出、特別にしてもらっていいんだろうか…と思ったけど、他のアーティストはこの「紹介」にこだわっていないのかもしれない。これがNEWSサイドのオーダーなら、まさに「神は細部に宿る」だと唸ってしまう。
彼らはこの限られた“守らなければいけない”出演時間を最大限に活用しようとしている。
そんな彼らのこだわりによってグッと集まった注目をそのまま鷲掴みするように1曲目、「Weeeek」が始まった。
振り返ってみるとNEWSのセットリストは見事に起承転結に分かれている。
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1.weeeek
2.チャンカパーナ
3.未来へ
4.Tick-Tack
5.JUMP AROUND
6.夜よ踊れ
7.「生きろ」
8.U R not alone
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1.2曲目はテレビを見ていれば1度は聞いた事のあるド定番曲。ここで「知ってる曲だ…聞いていこうかな…?」という気持ちになる。ステージエリア外のフードエリアにも届いているはずなのでこの2曲が決め手でステージエリアに入ってきた人もいるかもしれない。
定番曲を最後に持ってきて最高潮の状態で終わる、というアーティストも存在するけれど、一般的なNEWSの位置づけはきっとこっちではなくて、「いかに最初の引きでお客さんを集めるか」が課題だということを本人たちも知っていたんだろう…きっと恐らく、某加藤さんが……
3.4曲目でNEWSの代表曲を持ってきて、一気に「NEWSのライブ」に空気を変える。音楽は既知の文化といわれていて、「知っている」方が親近感が湧きやすい。1.2曲目で引き込まれたお客さんは自然と3.4曲目も受け入れられる。知らないけどいい曲じゃん…になる。本当によく出来たセットリストだと思う。帰る隙を与えない。
5.6曲目はもう完全にNEWSの世界。NEWSの世界の中でも特にディープな世界。並の人間はここまで入ってこられない。私たち(読み仮名:ファン)ですらレア曲なのにフェスで聞けてしまう贅沢……この2曲だけでチケット代12000円の元が取れてしまったのでこの1日ただひたすらボロ儲け。オレたちが優勝。
7.8曲目で一気にフィナーレに入る。NEWS最大の売り、「魂で歌う歌」がロックファンに刺さって抜けなかったに違いない。私だったら絶対そう。メトロック落ちのNEWS担をこの先一生羨むと思う。
さて、セトリについてざっと語ったところで1曲ずつ……と言いたいところだけど全部書いてしまうとさすがに収集つかなくなってしまうので印象的だったところだけ抜粋していこうと思います。
weeeek
ステージ上の奥のエリアがモニターになったのはいつからだろう。
少なくとも去年のフェスではモニターになっていた気がする。
あのエリアはもともとアーティストのロゴが掲げられているだけのエリアだった。今は誰のステージなのか分かると同時に、その時間だけはそのアーティストが“主役”であることを示すとても大好きな空間だった。
モニターになることで汎用性は高くなってアーティストによってPVを流したり歌詞を流して一緒に歌ってもらったり、思い思いの使い方をしていた。
1曲目のweeeekが流れた時、その画面は「NEWS weeeek」という文字が“はためいて”いた。
かつてのフラッグ文化(?)を彷彿とさせる演出に、心の中で小さく沸いた。
今から“NEWSの”時間なんだ、と実感してまた少し嬉しくなった。
転換中目の前に現れた巨大な筒はやはりウォーターキャノンだった。間近で見たのは初めてだったけど、兵器みたいなおぞましさを持っているそれにバケツで水が注がれているのを見てただならぬことが起こる予感がした。
案の定、サビで乱射される大量の水に困惑した。
私たちとメンバーが。
風向きの関係なのか、結構な量がメンバーの方にもかかったらしく、タジタジしながら歌う彼らを見て勝手にほっこりした。
私たちがワクワクしながら準備をしていたのと同じように、いや、それ以上に彼らも気合いを入れて準備していたんだろうな、と思う。
準備は緻密に、そして当日はただひたすら全力で楽しむ。その楽しさが私にも伝わってきて、既に少し満足してしまった。
MC
いや、凄かったのよ。引きが。
フェスで見てきたバンドは数あれど、あんなにアウェーな場で外部のお客さんを引き込むMCが出来る小山さん本当にすごい。さすが名MC。
人数が減りました~という自虐は、ファンからしたらあんまり繰り返して欲しくないものかもしれないけど、程よい衝撃と(9人から3人は客観的に見たらフィクションのレベルだと思う)自分下げとも言える内容による親近感が与える一体感はかなり大きかったと思う。
僕達20年ずっと第一線で頑張ってる完璧なスーパーアイドルです!なんて自己紹介されても全然刺さらないので……。ファンにとってはそうでも、あの場での自己紹介としては大正解。小山さんの作戦勝ち。さすが名MC。(何度でも言う)
JUMP AROUND/夜よ踊れ
いや、これを入れてきたの、本当に…………。
NEWSってこれだから天才。
フェスの出演時間は限られていて、お客さんの引きも考えて代表曲&新曲で固めてくるアーティストが多い。
私は勝手に「フェスは名刺交換の場」と呼んでいるのだけれど、フェスの尺ではプロフィール的な表面的な部分しか分からないことが多い。
カップリングやアルバムの曲を持ってくるバンド自体稀で、NEWSはどう出るのかな……と思っていた。
ら。
これですよ。
一般的にはほぼ知られていない完全ホームのコア曲を中盤に持ってくる覚悟。
やっぱりNEWSって天才なんだと思いますね。(何度でも言う)
楽曲ランキングで需要を掴んだのかもしれないけど…いや、それ抜きでもきっと分かっていたであろうこの2曲の持つ威力・ファン人気の高さを完全に把握したセトリの入れ方、じゃんぱらの増田さんの冒頭のセリフを聞いた瞬間の私の動揺が全てを物語っていましたね…(そうですか)
ライブハウスで会いましょう
先程も書いた通り、フェスはあくまでアーティストの「自己紹介」の場だ。20分から50分、尺に違いはあれどみんな自分たちを精一杯アピールして去っていく。彼らの真の目的は「自分たちの単独ライブに来てもらうこと。」自分たちのライブが最高だということを知らしめるためにステージにたっていると言ったら…さすがに過言かもしれないけれど。
バンドの人は結構な頻度で言う「次はライブハウスで会いましょう」これをアイドルが言っているのを少なくとも私は見たことがなかった。(そもそも私が行くフェスにはあまりアイドルが出ないので実際の母数は分からないけど)
だから小山さんが言った「もっと見たいという方はぜひライブに遊びに来てください」に結構衝撃を受けた。
アイドルのしかも初フェスの人たちのゴールは「フェスに出られたこと」になってしまうことが多いように感じる。NEWSは、その先を、(私の考える)フェスに出る本当のゴールを見据えている気がして、また少し驚いた。
今日この場でNEWSを初めて見た、なんならジャニーズを初めて見た人たちが1人でも多くNEWSの単独ライブに足を運んでくれたらいいな、と思う。
未来へ・「生きろ」・U R not alone
NEWSのどこが好きなの?と聞かれたら、多すぎて多分答えに困ってしまうけれど、「歌の力」の部分にフォーカスする気がする。
私にとって彼らの「歌」は魅力の大部分を占めている。
彼らもそれを分かっていて、比較的歌の力が全面に出るこの3曲をセトリに入れたのだと思う。
3人の歌声が会場のお客さんにどう映ったのかは分からない。だけど間違いなく、「人の心」に響いたと私は確信している。
完璧に音程が取れていなくても、技術的に並外れた力を持っていなくても、歌で人の心は動かせる。音程だけじゃなくて、技術だけじゃなくて、言語化出来ない何かが、表現力とか思いの籠った声とか、そういう「どう身につけていいのか分からない力」は一朝一夕では纏えない。
これが、「20年目の証」だと思った。
全肯定してくれるファンだけの前じゃない、文字通り「どこに出しても恥ずかしくない」パフォーマンスを、彼らはやり遂げていて、それを目の前で味わえたのが何よりも嬉しかった。
どんなにAIが進化しても、デジタル音声に温度がこもるようになっても、この「心」の部分は生身の人間にしか出せないものだと私は信じている。
だから何度でもフェスに来てしまう。何度でもライブに行ってしまう。その日その時にしか味わえない彼らの「心」があるから。
ロックフェス常連もきっと同じ心持ちでいるのだと思う。だからこそこの3曲は、特に深く刺さったと信じている。
普段の音楽嗜好は違えども、音の感情を感じる「心」は共通のものだから。
やってしまった……。なんか気づいたら死ぬほど熱く語るオタクが完成していた……こんな……こんなはずでは…………。
ロックバンド、ポップス、ヒップホップ、そしてアイドル…「ロックフェス」というタイトルから“バンドだけのもの”と思い込む人は多いけれど、私個人的にそれは違うと思っていて。
ジャンルレスに色んなアーティストが集うからこそ、普段交わることのない人や音楽に触れることができて、生で、スキップボタンのない状態で知らない音楽を浴びるからこそ開ける世界がある。
フェスのこういう異文化交流的な側面が私は1番の魅力だと思っているし、そんな場所に「アイドル」というジャンルを代表して参加したNEWSのことを誇りに思っている。
20年目のアイドル、どこに出しても恥ずかしくないメンバーと、ファンであることを実感できた貴重な1日だった。