(2021.1.19掲載)
圧巻だった。
衝撃だった。
言葉にしてしまえば簡単だけれど、実際の私はどうだ。
ノーメイク、髪はボサボサ、嗚咽が止まらない、の三重苦。
視線の先のステージと真逆の状態で、とても日記を書き綴れる状態ではないけれど、それでもいてもたってもいられなくなって、はてなブログのサイトを開いた。
最終更新日は去年の9月3日。
正直何が書きたいかも分からないし上手くまとまるのかも分からない。
それでもタイピングの手が止まらない。ああ、これだ。ブログを書きたいという感覚。
1月18日。私の応援しているアイドルグループがTBSの歌特番に出た。
前回出演した時に共演したサンボマスターとの縁が楽曲として形になり、最新曲「週刊うまくいく曜日」が完成した。
共演といってもたまたま出番が近かっただけ。サンボのステージをフロアで見ていたという、たったそれだけの偶然だった。
既にコロナが世界に蔓延し、「コロナ慣れ」「コロナ疲れ」なんて言葉が出ていたころだった。
ライブハウスはどういうわけか政府の目の敵にされ、有人ライブすらできない状況の中で、心から楽しそうにライブを見てくれたWESTの姿がサンボには輝いて見えたのだと思う。
あんなにお客さんとのレスポンスを楽しそうにしているバンドはなかなかいない。
その「日常」が一瞬でも帰ってきたような気がして嬉しかったのだと勝手に想像している。
申し遅れました、ジャニーズWESTのオタク兼ライブキッズ*1です。
楽曲提供とそのいきさつについて知った時、単純にとても嬉しかった。
WESTのバンド顔負けの熱量が好きだったし、初めて買ったシングルが「証拠」という熱量を圧縮して固めたような曲だった私にとって、願ってもないコラボだった。
サンボマスターはとにかく「熱」のバンドで、フェスという幕の内弁当の中でもひときわ存在感が強い。
熱すぎて何言ってんのか分かんない時もある。(褒めてる)
若い青臭い高校生バンドならまだしも、結構なキャリアを積んでいるおっさん達が、変わらない熱量で叫び続けているというのは、それだけでとてつもないパワーがある。
ありきたりな言葉でも、いつも彼らの言葉に涙してしまう。
そんなカッコいいバンド。
彼らが、大好きなアイドルに曲を提供してくれ、その上出会いの場であるCDTVでコラボステージが実現するなんて、私は一体何の徳を積んできたんだろうと思った。
身に覚えがない、全く。
あるとしたら、週末に道端で倒れている自転車を立て直したくらいだ。
どこで返ってくるか分からないものだな…とつくづく思う。(多分それじゃない)
前置きが長くなってしまった。
とはいえ、ここのところ仕事が忙しくて、心を動かすことが少なくなっていた。
音楽は入ってくるし、「いい曲だなあ…」と思うけど、突き動かされるような衝動とか、世界が変わってしまうような感動とか、そんなものとは縁遠く、このまま自分が科した「オタク」という定義から外れていってしまうんじゃないかという懸念もあった。
そのことにすら、焦りを感じなくなっていた。
でも、一音目が鳴り始めた瞬間、一言目を発した瞬間、心の奥の「感受性センサー」みたいなものが、カチッと音を立てたような気がした。
この感覚だ。
どれだけ配信ライブを経験しても、ライブ映像で心を満たそうとしても、いい音質で安定した音程のCD音源を聞き続けても絶対に満たされない「現場の熱さ」。
ご無沙汰過ぎて忘れていたけれど、この感覚は、きっとどれほどライブから遠ざかった日常を送っても、生音で1音鳴った瞬間に思い出す。
前世の記憶が転生後に残っているみたいに。
画面越しだったけど、はっきりとその感覚を思い出せたのは、「ジャニーズWEST」と「サンボマスター」の『2大暑苦しい奴ら』の本気のステージだったからだと思う。
「暑苦しい」「うるさい」「うざったい」…何と言われたっていい。私はこの熱さが大好きだ。
続いてサンボのステージ。
曲前の山口さんの煽り、いつもと変わらないなあ。
どうしてこんなにもまっすぐな言葉だけで泣けてきてしまうんだろう。
ああ、フェスに行きたい。広大な空の下でこの言葉を聞いていたい。
「あなたの命が美しいことを、でっかく歌いに来ました。」
山口さんは叫ぶ。WESTだけのフロアに向かって。
それを聞いている7人の表情が、目の輝きが、汗なのか涙なのか分からないびしょびしょの顔が、6万人のステージのフロアとぴったり重なってしまって、涙が止まらなくなってしまった。
7人が行ったこともないはず*2のフェスのフロアが、シミュレーションしてきたみたいに再現されていて、びっくりした。
びっくり、なんて軽い言葉で表現したくはないけど、本当にびっくりした。
柵に掴まって傾倒する人、とにかく移動しまくる人、ヘドバンする人、拳を上げ続ける人、とにかく大声で歌う人、フロントマンの言葉に感極まる人…。
全部、ライブハウスで見たことのある景色だった。
役割分担をするでもなく、役作りをするわけでもなく、ただ「7人が思い思いに楽しんだ結果」がフロアになっていた。
どんな売り上げ記録を打ち立てた時より、どんな仕事をもらった時より、誇らしかった。私の好きなアイドルは「楽しい」をこんなにも全身で体現できる人なんだと、それが分かったことが嬉しかった。本当に嬉しかった。
そして、半分は本気で嫉妬した。
全国民がしたくてもできない「ノーマスクでステージを見て、大声で歌う」という楽しみ方を出来ている彼らが、心底羨ましかった。悔しささえ感じた。
今からジャニーズ入ってグループ組んで、バンドマンに曲提供してもらったら、同じ経験が出来るかな…と一瞬本気で考えた。一瞬ね。
でも、そんなことをするより前にコロナが収束して、ノーマスクで気兼ねなくフェスに行ける日が来る。きっとくる。
閉ざしかけていた希望をまた見つけてしまった。
そんな日が来たら、彼らよりずっと大きな声で叫んでやる。ずっと多くの汗をかいて、全力で泣いてやる。声が枯れるまで歌い続けてやる。
そんな風に思うことさえ忘れていた私にとって、彼らのコラボステージはただただ希望の光だった。
たった10分。たった2曲。
心が疲れ切った社会人一人を救うには、十分過ぎる。