ELLEGARDENを、見た。
私が夢に見ていた伝説のバンドだった。
彼らを生きているうちに見ることは私の大きな「夢」の1つであり、生きていくための「希望」だった。
ELLEGARDENに馴染みのない方々のためにちょっと解説しておくと、「10周年のライブを最後に突然活動休止してそれぞれで活動していた嵐が20周年を迎える年に突然集結して、時々ライブをしている」みたいな奇跡です。
復活ライブは当然落選*1、以来出演するフェスは宮古島だったり北海道の奥地だったり、気づいた頃にはチケットがソールドしてる公演だったりして、私にとっては復活してからも「幻の伝説バンド」に変わりはなかった。
活休後、
ボーカルの細美さんは「HIATUS」「MONOEYES」、
ギターの生方さんは「Nothing’s Carved In Stone」、
ベースの高田さんは「MEANING」、
ドラムの高橋さんは「THE PREDATORS」「PAM」、
とそれぞれ個々に“家族”を持っていたので彼らが再集結する可能性はほぼないと言われていた。
エルレの「エ」の字も知らずに活休を迎えていた私が、彼らの音楽に気づいたのはそれから7年後、2015年のことだった。
「いつかエルレが見たいんです!」と言う度に、ライブで出会うバンドファンの“先輩”方から「復活は絶望的」とか「再結成はまずない」とか口々に言われた。
それぞれで活動を持っている彼らが再結成するメリットもスケジュールもない、というのが言い分だったけれど、私はずっと諦め切れなかった。
メンバーは誰一人として音楽を捨てていなかったから。形は変わっても音楽を続けていたから。誰ひとり「脱退」していなかったし「解散」ではなくて「活休」だったから。きっといつかその線が交わる日はやってくると信じて疑わなかった。
そんな、思い入れしかないバンドにようやく会えた。
ライブの感想は書いても書いても溢れてきて、留まることも落ち着くこともないので「NEWS担の私」が感じたことを残しておこうと思う。*2
4曲目が終わって、ボーカルの細美さんがちょっとしたMCをした。
「俺たちが九州に来るのは13年振りだそうです。俺たちのこと、当時から好きだった人が今いるのか分かんねーけど、てめーらの心に寄り添うのもどうかと思うけど、みなさんの大変な時にそばにいられなくてすみませんでした。」
二人称が「みなさん」になったり「お前ら」になったり「てめーら」になったり、心と言葉の葛藤があるのを微笑ましく思いながらこの言葉を聞いて、真っ先に思い出したのは、大好きなNEWSのことだった。
上手くグループでの活動が出来ない時期があっても、メンバーが次々に脱退しても、彼らは「活動休止」「解散」という選択肢を取らなかった。
NEWSが大好きだから。この場所を無くしたくないから。という言葉は本人たちから聞いてはいたものの、私にはどうしてこんなに彼らが頑張るのか分からなかった。
私はアイドルだったこともバンドだったこともないので、気持ちを想像することしかできないけれど、「メンバーの脱退」というのは恐らくとてもとても心の負担が重い。「もういいや」と諦めてしまっても全然おかしくないくらい、絶望的な出来事だと思う。多分。
それでも彼らが「NEWS」として生き残り続けているのは、「ファンが大変な時に寄り添うことが出来るから」というのもあるのかもしれない、と想像したらなんだかいても経ってもいられなくなった。
ツアーがなくても、新曲が出なくても、彼らの音楽はどんな時も私たちの耳元に届いて「いつか生音で聞ける」という希望が寄り添ってくれる。
そりゃあ離れられないよなぁ、と。アイドルを“応援している”はずなのに“心の支え”を福利厚生に持ってこられたらずっと好きでいたくなるのは当然だよなぁ、と。そんな事を思った。
「1人も脱退しない」「1人欠けるなら解散する」そんなグループももちろん素敵だし、彼らのファンは最後まで「初期メンバーであり最終系」を見続けられる。そんな奇跡に立ち会える人生を羨ましく思うこともある。
ただ、「どんな形をとっても物語を紡ぎ続ける」彼らが劣っていることには絶対にならないと断言出来る。
私たちが今見ている物語も果てしなく魅力的で美しい。
細美さんはライブの後半、こんな事も言っていた。
「パンデミックだったり、震災もそうだけど、ずっと続いていくと思っていた物語が突然途切れてしまったり、もっとこれから広がっていくと思っていた未来が突然プツッと切れてしまったりすることもあるけど、
物語は1度途切れても夢の続きはまだ再開することができると、割と俺たちは誰よりもよく知っています。」
NEWSの物語は何度も途切れたり改変されたりしてきたけれど、ちゃんと繋がっている。ちゃんと再開して、ちゃんと紡がれ続けている。
私とNEWSの物語も、1度は途切れたり、ページが薄くなったりしたけれど、途切れた先でこんな素敵なロックバンドに出会えた。夢を与えてもらった。
私たちが歩んできた道は、何一つ無駄じゃない。
それを証明して貰えたような気がして、なんだか、勝手に誇らしく思った。
ELLEGARDENは、アンコールで1曲だけ演奏した。
「スターフィッシュ」と名付けられたその曲の歌い出しは“物語の続きを見たくて”。
こういうどこまでもロマンチストなところが、私はどうしようも無く好きなんだ。
こんな星の夜は、全てを投げ出したって、どうしても君に会いたいと思った。