愛以上、恋未満。

アイドルに胸張って生きてる人たちを胸張って応援するブログ

私が好きな人はアイドルです。

この人を追いかけて、私は幸せになれるんだろうか。

 

一年前、確かに私は迷いの中にいた。

 

旅行先の観光地に憧れて、特に迷いもなく「住みたい」という気持ちだけで引っ越し、新しい仕事を初めて2か月。まだまだ慣れない環境に心細さを感じていた。

左手に持ったスマホで見る地図アプリが、唯一私の居場所を教えてくれていた。

 

そんな中、私は彼と出会った。と書くと語弊が生まれるので正確に書くと、彼が引っ越し前の土地に遊びに来た時に私たちは知り合った。

彼の地元に引っ越すことが決まっていたので、「引っ越して来たら遊ぼうね!」と口約束程度の会話をしていた。

仕事が忙しいらしく、なかなか会うことが出来なかったが、4月の下旬、初めてご飯にいくことができた。職場はとても落ち着いていて、仕事に不満はなかったので、愚痴をこぼすことはなかったが、ただ、誰かに話を聞いてもらえると言うだけで、私の心は落ち着いた。

食事会が終わるころには、離れるのが寂しくなってしまった。その気持ちを恋だと思うのにそんなに時間はかからなかった。

 

会いたい。もう一度、出来るだけ早く会いたい。同じ街で生きているんだから、すぐにまた会えるけど、次の約束が欲しい。

彼との連絡は続いていたが、一向に次の約束が決まらない。仕事が忙しい、というのは間違ってはいなかったのだと思う。でも、3か月ラリーを続けても、私が彼と再びご飯に行くチャンスは巡ってこなかった。

色んな友達に相談した。「やめておきなよ」「遊ばれているだけだよ」「ほかにもっといい人がいるよ」…いいことは一つも言われなかった。何が分かってるというのだ。自分から相談しておいて、内心そう反発したくなってしまうので、本当に面倒くさい女だと思う。

 

自分の中でも揺らぎ始めていた。この人を追いかけて、私は幸せになれるんだろうか。

そう思うと同時に、この人を手放してしまったら私は誰を頼りに生きて行けばいいのだ、という気持ちもあった。

要するに、心の拠り所が欲しいだけだったのだと思う。たまたまタイミング良くそこに居た人が彼だったというだけだ。彼に私の居場所をゆだねた。でも、追いかければ追いかけるほどその場所は不透明になっていって、どんどん辛い気持ちになっていった。連絡が数か月続いているという事実だけが、私の居場所を作っていたように思う。

 

そんな時、私の前に現れたのがアイドルだった。

私から会場に足を運んでいるので「現れた」という表現は正しくないのかもしれないけど、間違いなく私の前に舞い降りた機会だった。

学生時代から応援していて、今ではすっかり疎遠になってしまったアイドルと再び対峙することになったのだ。

アイドルのコンサートはとても楽しかった。

歌も、ダンスも、演出も、マイクパフォーマンスも、私が見ていた頃の彼らよりずっと進化していた。

本当に同じ人かと疑うほどに、彼らは輝いていた。

そして、

「ありがとう、愛してるよ、明日からも頑張れ、辛い時は俺らがついてるよ…」

色んな言葉で彼らは私たちに愛をくれた。文字にしてしまえば形だけの言葉だけれど、私は確かにそこに想いを感じた。ファンもそれに応えるように愛を返していた。

すごい場所だと思った。

数万人規模の会場の中で確かに私たちひとりひとりが彼らと向かい合っていた。

 

その瞬間、私は決断した。

彼から離れよう。

私の居場所はちゃんとここにある。迷った時の道しるべは彼らやファンが作っていてくれる。私の心はそれで充分救われる。

数か月の迷いがウソのように吹っ切れた。

 

 

それからほんの数日後、彼のSNSに恋人ができたという投稿が載っていた。

不思議となんの気持ちも動かなかった。そこでやっと分かった。これは恋ではなかった。

私は居場所を求めて迷い、彼にすがっていただけだった。

そんな簡単なことに気づくのに4か月もかかってしまった。

私は晴れやかな気持ちでファンクラブの振込へと向かった。

 

アイドルを追いかける、ということに、いい顔をしない人は多いと思う。痛いと感じる人も多いと思う。

「社会人 ジャニオタ 彼氏なし」最悪の3拍子だ、と言う人もいる。

でも、私にとっては大切な心の拠り所だ。彼らを応援することが、私自身を支えることに繋がり、ファンの人と気持ちを共有することが私の心を強くする。

彼らに支えられて自立した自分が、本当に好きだと思える人と美しい恋が出来たらいいな、と思う。今度こそ、今なら、それが叶う気がする。